カーボンロール
概要
カーボンロールは、印刷分野、フィルム分野、紙分野、液晶分野など幅広い分野で用いられています。
近年、各製造装置の大型化(幅広化)、高速化が進むにつれて、ますますカーボンロールの需要が伸びています。
当社は、 PAN系およびピッチ系の炭素繊維を最適に組み合わせることにより、お客様のニーズに合わせた設計をご提案いたします。
特長
- 1.軽量化 ・・・ 生産性改善、作業性・安全性の向上
- 運転効率が向上し、生産性の改善が図れます。また、交換時の作業性および安全性の向上が図れます。
- 2.低慣性力 ・・・ 高速回転の実現、ランニングコストの削減
- 高速回転下でも安定した搬送性を実現します。また、駆動エネルギーの抑制が可能となり、ランニングコストの削減に寄与します。
- 3.高剛性化 ・・・ たわみ抑制、製品品質向上
- たわみを大幅に抑制することで、製品の品質向上に大きく貢献します。
設計
カーボンロールは、CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastic:炭素繊維強化プラスチック)で作られています。CFRPは材料強度を発揮する炭素繊維と母材となる樹脂(エポキシ樹脂)で構成される複合材料です。
カーボンロールの構造は、等荷重分布に対して曲げモーメントの大きい長手方向に弾性率の高い炭素繊維を配向し、たわみを小さくするように設計されています。
当社は、長年の経験と多くの実績をベースにした技術力と有限要素法を駆使した解析力により、最適設計を可能にしています。
製作範囲
お客様のご要望に合わせて、最適な条件をご提案いたします。
項目 | 対応範囲 | |
---|---|---|
サイズ(ゴム除き) | 外径 | φ30~350mm |
長さ | ~8,000mmL | |
肉厚 | 5~20mm | |
表面処理 | ゴム | NBR、CR、シリコン、ウレタン、など |
金属 | ハードクロムメッキ | |
形状 | 軸付(SUS,鉄)/テンデンシー型/軸無し(パイプのみ) | |
軸弾性率 | ~30,000kgf/mm2 |
商品性能
ロールシェルの素材比較
従来、ロールシェルの材質は、剛性を必要とするものはスチール、軽量化を図るものについてはアルミが一般的でした。
カーボン(コンポジット)ロールは、高い剛性から低い剛性まで設計の自由度が大きく、また、剛性によらず軽量であることからロールシェル材料として広く用いられています。
金属ロールとカーボンロールの比較例
カーボンロールは、設計により性能が変わります。
一例として、同一サイズで剛性を合わせた場合の金属ロールとカーボンロールの性能比較を以下に示します。
- 例(1) スチールとの比較 ・・・ 軽量化を実現
- 例(2) アルミとの比較 ・・・ シェル厚みの薄肉化を実現
スチール/アルミロールとの性能比較(φ100×1700Lで同一剛性)
項目 | 例(1) | 例(2) | |||
---|---|---|---|---|---|
スチール | カーボンロール | アルミ | カーボンロール | ||
外径 | mmφ | 100 | 100 | ||
面長 | mm | 1700 | 1700 | ||
シェル厚み | mm | 7.0 | 7.5 | 7.0 | 5.0 |
シェル重量 (金属比) |
kg | 27.3(100) | 6.3(23) | 9.4(100) | 4.0(43) |
自重たわみ | mm | 0.038 | 0.009 | 0.038 | 0.016 |
慣性モーメント (金属比) |
105N・mm2 | 24(100) | 3.6(44) | 8.2(100) | 5.4(23) |
危険回転数 | rpm | 5,500 | 8,700 | 5,500 | 12,400 |
用途例
当社製カーボンロールは、印刷分野、フィルム分野、紙分野、液晶分野など幅広い分野で実績があります。
- 1.印刷分野
- 新聞輪転機用ゴムロールでは、全国の新聞社に採用され、生産過程における作業負荷の低減、生産性の向上に大きく貢献しています。
- 2.フィルム分野
- 光学・高機能・薄膜フィルム各製造ラインでは、低慣性力、低たわみの特長を活かしてガイドロール、ニップロールに数多くの実績があります。フィルムスリッター・ワインダーラインでは、低慣性力、低たわみに加えて高速回転性を活かしたタッチロールなどにも実績があります。
- 3.液晶分野
- 高剛性化により、低たわみを実現し、製品の品質向上に大きく貢献しています。また、運転効率および基材の搬送安定化が図れ、生産性の向上にも寄与します。